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2012.01.28 (Sat)

スポーツライティングの話(2)

この稿を書こうと思ったきっかけは、
パソコンの中の資料をさがしているうちに、たまたま、
自分の気に入ったスポーツ記事をスクラップしたフォルダを見つけたからです。

皆なかなかに秀逸なのですが、ぜひ一つだけ紹介したいと思います。

僕が学生時代から今まで、唯一継続購読し続けている雑誌は『Number』で、
前項でざっくりスポーツライティングと言う場合も、その系統のものを指しているんですが、
この記事は日刊スポーツからです。



まさか…柏GK南投げてオウンゴール/J1

<広島3-0柏>◇22日◇第11節初日◇広島ビ

 広島-柏戦では、GKが自分のゴールにボールを投げ込むという珍プレーがあった。
 会場全体があ然となった。柏GK南が前半17分に思わぬ形で広島に先制点を献上した。広島FW森崎浩の左サイドからのクロスをキャッチした。ここまではなんでもない普通のプレー。この直後に悲劇? は起こった。

 南は味方DFに右手でスローイングしようとしたが、広島FW田中がプレスをかける構えを見せた。ここで一瞬躊躇(ちゅうちょ)し動きを止めようとしたが、勢いがつきすぎていた。そのまま体をゴール方向にひねり、手から離れたボールはゴールへ転々。慌てて追いかける南を尻目に、そのままゴールネットに吸い込まれた。

 柏、広島の選手全員が一瞬何が起こったのか理解できなかった。会場全体も「もしかしてゴール?」とざわめいた。主審がゴールを告げると広島の選手は首をかしげながら、控えめに喜び合った。一方、柏はこれでペースが狂ったのか、後半にも2失点し、このまま0-3で敗れた。

 「怪勝」の広島勢も驚きを隠せなかった。森崎浩は「クロスを上げて自分のポジションに戻ろうとしたら、ボールが入っていてびっくりした」。プロ初出場で初先発のFW田中は「今までサッカーをしていて初めて見た」と当惑していた。

 柏の池谷監督は試合後、怒りを通り越していた。「信じられない失点。先制された場面は見ていなかった」とあきれ返っていた。この試合で最も注目を集めた南は「何もありません」と逃げるようにバスに乗り込んだ。思わぬ形で守備が崩れ、柏は最下位脱出を逃した。「珍プレーショック」から立ち直ることが、浮上するために必要となった。【奈島宏樹】

[2004/5/23/08:18 紙面から




おそらくその場にいた人間にしかわからなかっただろう空気感と、
その一瞬を切りとった、生の臨場感がよく伝わってきて。
抑えた筆致が醸し出すあたたかなユーモアに、僕はあとから、じわじわときますね(笑)

去年、悲願のJ1初優勝を果たした柏にも、日本代表GK南にも、
こんな時期、こんな試合があったんですね。

――おっと。
ついつい僕も、グラウンド外から「ドラマ」を持ち込んでしまいました。

こんな楽しい記事は、これだけで楽しむべきものでしょうね。
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